「譲君、腕を押さえて。もっと強く!
朔さん、替えの湯を。急いで!!」
急くように命ずる口調とは裏腹に。
僕は酷く冷静だった。
押さえても押さえても止まらない血潮。
彼女の肌は既に象牙の様に白く冷ややかだ。
そんな彼女の、
行き着く結果はただ一つ。
だというのに。
だというのに、僕の口は。
「望美さん!気を確かに!!
必ず、必ず助けますから!!」
冷酷な思考とは裏腹に。
適わぬノゾミを叫び続けるのだ。
2007.09 KP/marimo
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