だって、この世界の家って、なんか部屋一杯あるじゃない?
しかも将臣君の定宿なんて、あんまいったことないし。
部屋ぐらい間違えることもあるよ…きっと……たぶん。
Take a chance.
「……か。俺の閨に忍び込むとは、随分と豪気なお嬢さんだ。
生憎と………未だこの首、差し出すつもりはないのだがな……」
知盛は、突然の闖入者…つまり、私の事なんだけど…に驚く様子も無く、
床の上で泰然と胡坐を組み、私の事を見つめている。
「あの…その、ごめんなさい。部屋、間違えちゃったみたいで。」
私のことを見つめ続ける知盛の視線に堪えられなくなった私が、
急いでその場を後にしようと知盛に背を向けた瞬間。
「首も掻かず、俺に背を向けるとは………クク…豪気なのか、
迂闊なのか。不思議な、女だ。」
「ちょっと!え、何!?」
耳元で知盛の囁きが聞えたと思った途端、体に強い衝撃が走り、
世界が反転する。知盛に抱きかかえられ、床に放り投げられたと
理解した頃には、既に私の体に自由は無く。ただ、呆然と知盛と…
知盛越しに見える天井を見つめるしか手段が無かった。
「は、放してよ!!!」
「ク…随分と意地の悪いことを言ってくれる……
時は今だ宵の口……お互いを知るには丁度良い機会……
そうだろう?。」
否定をする時間も与えず、知盛の唇が私の唇を覆う。
舌を絡ませながら、深くなる彼の甘い口付けに、私は否定の言葉を
口にする機会を、永遠に失った。
Thanks for your answer 瞳様
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